令和の天皇陛下と皇后、雅子さま(c)朝日新聞社
令和の天皇陛下と皇后、雅子さま(c)朝日新聞社

 そのためにも、女性皇族結婚後の身分の保持が、議論の中心としてなされている。だが先の人物は、こう懸念を漏らす。

「議論がなされているのは、皇族女性が結婚によって皇籍を離脱したあとの話ばかりです。優先順位を挙げれば、皇族方の現在の環境を整えることが最重要課題であり、皇室を離れた方の環境は次の話であるはずです」

 20歳の成年を迎える愛子さまの重要性がまるで認識されていない、と吐露しこう続ける。

「令和の皇室においては、両陛下がしっかりと役目を果たされるのが第一です。ご両親、特に皇后陛下がお元気になるうえでの最大のサポーターは、愛子さまをおいて他にありません。平成の時代に、ご両親である当時の天皇、皇后両陛下を支えた紀宮さまの存在は大きい」

 実際、平成のはじめに起こった皇后バッシングを振り返ってみれば、一時的に声を失った美智子さまに寄り添ったのは紀宮さまだった。先の人物は、そうした過去も踏まえて、愛子さまが両陛下を支えるための環境を整える必要があると考えたのだ。

 だが、冒頭のように現在の有識者会議では、愛子さまに関する話題は、半ば「タブー」化しているのだという。

「皇位を継承するのはもちろん悠仁さまです。決して『愛子さまに皇位継承権を――』などといった話をした訳ではありません。しかし、両陛下を支える内親王として愛子さまがご活動できるよう環境を整えることが先決の課題だと説明しようとしても、『皇位継承問題につながりかねない』と別の問題と十把ひとからげに遮られてしまう。とにかく、『愛子さまには触らないようにしたい』という空気は、いやというほど伝わりました。しかし、現役の皇族としての女性皇族が皇室にとってどれほど大切な存在であるか――。それは、上皇さまが平成17(2005)年に行った誕生日会見を振り返ると、よくわかります」 

 05年は、皇室にとって重要な年だった。11月に紀宮さま(黒田清子さん)が結婚。そして、小泉内閣下で皇室典範に関する有識者会議は、「女性・女系天皇」容認とする報告書を提出している。

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国が耳を傾けなかった、平成の天皇の悲痛な叫び