
コロナ陽性者の入所数と退出数は、各テナントに毎日、メールが来ることになっている。6月には東京都から書類が送られ、建物の見取り図はゾーニングされ、危ない所は『レッドゾーン』、危なくない所は『グリーンゾーン』となっていた。
「うちは6月半ばくらいに『グリーンゾーン』に指定されましたが、そんな指定を受けても不安ですよ。お客さんたちが、このビルにだんだん寄りつかなくなり、敬遠されていくだろうなと思いますね」(店主)
5基あるエレベーターのうち3基が止まったという。
「客室まで行くエレベーターは全部、止められているんですね。バックヤードで従業員が仕事で使っているエレベーターも止められてしまい不便。1階のホテルグループの直営の飲食店は休業しています。でも、私たちは休んだら食べていけない」(同前)
東京都などによると、武蔵野市は慢性的にコロナ療養施設が不足し、市内の軽症患者を他の区市に受け入れてもらっている実態が続いているという。
「誰かが泣かなきゃいけないのはわかるので、ホテル側とも折り合いをつける相談をし、少しだけ家賃を免除してもらいました。ホテル側としては最大の譲歩だったんだろうと思います」(店主)
昨年5月1日、武蔵野市長は三鷹市、小金井市、府中市、狛江市、調布市の市長らと連名で東京都にコロナ療養施設のホテル確保の要望書を提出していた。
武蔵野市はAERAdot.の取材に対し、「これは東京都の事業。あくまで武蔵野市が事業主体ではない」(企画調整課担当者)とした上で、こう続けた。
「武蔵野市として1年前、多摩地域にもコロナ療養施設が必要だという申し出を都にしたというのは事実です。しかし、療養施設を武蔵野市に開設して欲しいという話は申し上げていない。都から今回のホテルの話が来た時、『うちは繁華街ですし、課題が多いのではないか』ということは申し上げました。けれども、やめてくれというような話には当然、なりませんでした」
東京都福祉保健局に保育所があるホテルをコロナ療養施設にした理由などを質問した。