新型コロナの感染拡大で、政府は25日から、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県で3回目となる緊急事態宣言を出す方針を固めた。経済へのダメージも長引くなか、自治体のトップである知事が「住民と痛みを分かち合う」と、自らの給与を削減する動きが出ている。そこでAERA dot.編集部では“身を切る”知事はどこの自治体か、独自調査を行った。結果をランキングで紹介する。
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「知事には高給取りがかなりいますよ。コロナ禍にあってもまったく減額をしない知事もいることには驚きますね」
こう話すのは政府関係者だ。コロナ禍にあって、菅義偉首相は給与月額201万円から30%を返納し、140万7千円を受け取っている。同様に国務大臣は20%を返納し、約117万円だ。
知事の給与はいくらなのか。厳しい情勢を受けて減額した自治体、していない自治体はどこなのか――。
AERA dot.編集部では、4月19日から21日にかけて、各自治体に知事の給与月額とボーナス(期末手当)について調査を行った。各自治体を取材すると、様々な事情や思惑がみえてきた。
まずは給与月額が多い知事・大臣ランキングから見ていこう。
最も多かったのは、埼玉県の大野元裕知事で142万円だった。減額はしていない。大臣を含む全国ランキングでは、唯一、菅首相よりも給与月額が高い。
「自民党の反対で給与が下げられなかったんです」
こう話すのは埼玉県議で知事に近い「無所属県民会議」の岡重夫代表だ。大野知事は昨年9月、知事などの給与を削減する意向を示し、議会に条例案を出した。これに呼応して、県議からも議員報酬を削減する条例案が出された。しかし、県議会で多数を占める自民党の反対でこれらの条例案は否決された。岡代表はこう語る。
「県職員の給与が減り、県民の生活も非常に厳しくなっている中で、知事もそれに寄り添うとして給与削減を提案した。これは組織のトップとしては当たり前のこと。会社であれば、社員の給与が下がっている中で、社長だけが満額の給与をもらっていたら、士気にかかわりますよ」