次にボーナスの多い知事・大臣ランキングを見ていこう。1位は菅首相で、ボーナス(年額)は約796万円だった。それに僅差で続き、知事で最も多いのが千葉県・熊谷知事の約792万円だった。
3位は神奈川県の黒岩祐治知事で約749万円、4位は愛知県の大村秀章知事で716万円だった。昨年、黒岩知事は6月・12月のボーナスを20%、大村知事は6月のボーナスを20%削減しているが、現在のところ今年度のボーナス減額の予定はないという。
一方、ボーナスが少ない大臣・知事ランキングでは、前出のとおり埼玉県の大野知事が最も少なく、0円だ。今年度、約689万円のボーナスを全額カットするとしている。これに次いだのが小池都知事で約424万円。給与月額と同様に、本来もらう約848万円から50%カットしている。鳥取県の平井伸治知事は、減額はしていないが、約448万円で3位だ。
こうしてみると、知事の給与月額やボーナスは一般人のそれと比べるとかなり高い水準になっている。金額を削減していたりすると見栄えはいいが、地方政治に詳しい慶應義塾大の築山宏樹准教授は「副作用も考えないといけない」と指摘する。
「給与やボーナスに適正な水準というものを示すことはできないが、一度給与を下げると新たに知事をめざす候補者がさらに引き下げる公約を掲げるなど、引き下げ競争になる恐れもある。そうした引き下げを可能にする、知名度や知事給与以外での所得などの政治資源を持ったり、政党などの後ろ盾があったりする政治家はいいが、そうではない政治家は対抗できなくなる。やり過ぎていないか、住民も注意して見る必要があります」
一般的に、給与が低ければ優秀な人材が立候補してこないことが懸念される。地方の首長選挙のように、立候補者すら少なくなり、無投票当選という事態になる恐れもある。優秀な知事を選び、迎えるためには一定の給与が保たれる必要がある、というわけだ。
自分の住む自治体の知事の仕事は、給与に見合っているだろうか。
(文/AERA dot.編集部・吉崎洋夫)