これに対し、県議で自民党県議団の田村琢実幹事長は「県民感情に寄り添うと言っているが、『知事の給料を減らせ』というような声はない」と一蹴する。懸念するのは、場当たり的に給与が決められてしまうことだ。田村幹事長は「私見」としたうえで、こう語る。
「給与は民主主義を機能させるための経費。減らすことになれば、われわれ代表者の活動ができなくなる。歴史的な経緯があって定められている給与は簡単には変えるべきではありません。知事がコロナ対応でミスしたというなら理解もできますが、そうではないので、減額はパフォーマンスでしかないと考えました」
ゴタゴタはあったが、その後、大野知事が今年2月に知事のみボーナスを全額カットする条例案を提出。自民党も「知事だけなら」(田村幹事長)と軟化し、可決されている。
3位は千葉県の熊谷俊人知事で139万円。ただし、5月から20%減額し、111万2千となる。4位は福岡県の服部誠太郎知事で135万円、5位は茨城県の大井川和彦知事、岐阜県の古田肇知事で、いずれも134万となっている。現時点で減額していないが、今年3月に辞職した小川洋前福岡県知事は昨年度に月額報酬とボーナスを20%カット、大井川知事は月額報酬を20%カットしている。
7位は群馬県の山本一太知事で131万円、10位は静岡県の川勝平太知事で130万1千円だった。両知事とも昨年度も含めて削減はしておらず、ボーナスもカットしていない。なぜか。
川勝知事は昨年5月5日の記者会見で、他県の知事が給与を削減しているなかでどのような考えかを記者に問われると、「あまり感心しませんね」と、否定的な見解を示している。当時は全国に緊急事態宣言が出され、消費が大きく落ち込んでいる時期だった。県産品を購入したり、県内施設を利用したりする「バイ・シズオカ」を進めるべきとし、「給与削減とは真っ向から対立する考えだ」と述べた。
他方で、足元の静岡県議会では県議の報酬を10%削減する条例案が出された。それらを原資として基金をつくり、医療従事者の危険手当など新型コロナ対策に使うためだ。全会派一致で可決されている。地域や立場により、給与への考え方はさまざまだ。