同じ通りなのに習志野市側の居酒屋は、午後7時を過ぎても入店する客がいて、店の外にもがやがやと話し声が聞こえてくる。
一方で、その並びにある船橋市側の飲食店店主は前日までの客足がぱったりと途絶え、ため息を漏らした。
「都内に務めているお客様が多いので、午後7時でお酒がラストオーダーではお客様は間に合いません。8時なら何とか来てくださっていましたが、もうゼロになってしまうと覚悟しています。行政の要請だから従うしかありませんが、この差はいったいなんなのか…。本来は飲み屋街を一体としてやるべきことではないでしょうか」
説明のつかない事態はチェーン店でも同じようで、中華食堂「日高屋」は北口に2店舗、南口に1店舗あるが、住所が船橋市の「津田沼北口店」だけが午後8時で閉店し、他の2店舗は明かりがともっていた。
同じような問題は12日に措置の適用が始まった東京のJR三鷹駅でもあった。北口は措置の対象となった武蔵野市だが、南口は対象外の三鷹市となり、不公平ではないかと指摘されていた。だが、ここ津田沼はさらに複雑な様相だ。前出の大塚さんは、こう考えを述べる。
「習志野市側の商店会とは例えば夏祭りで協力したりと、ずっと友好的にやってきました。我々は『津田沼で商売をする仲間』、という意識を持っています。もし今後、コロナが収束せず行政側がなんらかの宣言や措置をとるなら、次は『津田沼の繁華街』を一体として考えてほしいと思います」
切実な意見は、行政に届くだろうか。
(AERAdot.編集部 國府田英之)