東京のベッドタウンとして栄え、千葉県内の駅で有数の乗車人員を誇るJR津田沼駅。北口の駅前には「津田沼パルコ」を中心に繁華街が広がる。
南口には高層マンションや大学キャンパスがあり、駅前はきれいに整備されているように映る。が、実は駅周辺には船橋市と習志野市の境界線が複雑に入り組んでいる。
「津田沼」という住所は習志野市で、JR津田沼駅も習志野市である。なのに、「津田沼パルコ」は名前は「津田沼」でも住所は船橋市。そのパルコに隣接する商業ビルは、習志野市になる。習志野市になる。大塚氏が解説する。
「実はパルコ自体が両市をまたいで建っているんです。パルコのメーンの出入り口が船橋市側にあるので、登記上は船橋市になっているということです」
パルコ前の歩道をよく見ると、「境界」と書かれた市の境を表す目印を見つけることができる。さらにパルコの裏側に回ると、新京成電鉄の線路沿いに出るが、「自転車放置禁止」という趣旨の両市の看板が、わずか数十センチの間で掲げられている。この間に市境が通っているということだ。
「びっくりするでしょう。この看板の間に自転車を捨てたら、どっちの市が担当するんだろうね」
歩いていた地元の60代女性はこう言っていたずらっぽく笑った。
おおざっぱに説明すると、北口駅前から見れば、パルコから北西側の繁華街(左側)は船橋市。南東側(右側)は習志野市ということになる。
この日もパルコ内の飲食店は20時閉店だったが、隣のビルのファミレスは21時までの案内が出ていた。
「どう考えても、意味のある分け方じゃないですよね」
いわ鬼の山崎氏も呆れたように話す。
では、駅の南口はどうか。報道などで「駅南口は習志野市」、との伝えられ方が散見されるが、厳密には事実ではない。
南口を出て右手の線路沿いを数十メートル歩くと、ほんのわずかだけ船橋市に入る一角があり、この通りにも居酒屋が点在している。