変化の中で生まれた新たな就活の傾向は「オンライン就活」だけではない。20年秋以降に開催された東大生協主催の就活セミナーでは、事前エントリー数、実参加者数が夏休み前と比べると半減しているという。「この傾向は東大だけに限ったものではなく、他大学の大学生協主催就活セミナーでも同様の傾向です。大卒求人倍率が低下する中で、普通に考えると就活イベントに多数参加しそうにも思えますが、そうはなっていません」。先輩から就活の話を聞いたり、周囲の学生から影響を受けたりするといったキャンパス内のつながりで得られていた恩恵が途絶え、さらに就活情報の氾濫で情報を取捨選択しづらくなっていることなどが原因だという。一方、企業と学生とが直接会う機会が限られている中、企業が学生に対して直接オファーを出すスカウト型就活サービスを利用する学生も増えている。

 新型コロナウイルス流行の終息が当面の間見通せない状況で、来年度以降もオンラインを中心とした就活が続くことが予想される。「就活生目線だとオンライン対応に目を奪われがちですが、コロナ禍の就活を経験した先輩との接点の有無が重要度を増すように思われます。志望を極端に絞り込むことなく、広くさまざまな業界や企業に出会ってみることが、結果として自分の可能性を広げることになると思います」

■コロナ禍は主体的になるチャンス?

 中小企業を主なターゲットに、企業向けWebコンサルティングを行う株式会社ハロネット。人事を担当する下康一さんは「新型コロナウイルス流行下における採用活動は、説明会のオンライン開催など変革を余儀なくされることがありました」と語る。一方で、変革が追い風になった部分も。「航空業界など一部業界が採用を大幅縮小した結果、それまで我が社に目を向けていなかった学生がエントリーしてくれました」。結果的に、オンライン開催で地理的な障壁がなくなったことも影響してか、21年卒向けの説明会の参加者数は昨年比で3倍以上になった。

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