移動販売車を導入するケースも多い
移動販売車を導入するケースも多い
この記事の写真をすべて見る

 車を運転できなくなり、買い物が難しい高齢者を支援しようと、先端技術を活用した取り組みが各地で進んでいる。

【写真】ドローンによる買い物支援の様子はこちら

*  *  *

 大阪府河内長野市では「南花台スーパーシティ構想」が展開されている。市ホームページの島田智明市長の説明によると、南花台地区は「ニュータウン」として40年を経ているが、人口は当時から4割減少し、高齢化率も40%を超え、「オールドタウン」になった。

 その南花台地区で、7人乗り電動カートが定期運行されている。

 市担当者は「買い物利用が多い」と話す。自動運転車1台が毎週土曜の午前中に運行している。これは実証実験の段階にあり、無料で運行している。一方、手動運転車の2台は月、木曜日の運行で、1回100円。いずれも地域の活動拠点である地元のスーパーが基点となっていて、買い物などに便利だ。

「路線バスとルートが重ならず、バス停の近くまで行くことができる」(市担当者)

 河内長野市では、これ以外の二つの地区でも同様の運行実験が計画されているという。

 さらに、家にいながらタブレット端末で、店舗の売り場に並んだ商品をリアルタイムで見て選ぶことで、買い物ができる取り組みも試みられている。

 福島県浪江町の、日産自動車や凸版印刷などによる「なみえバーチャル商店街サービス」だ。注文した商品は「なみえスマートモビリティ」という車両により、配送するもの。今年1~2月には実証実験が実施された。

 ただ、すべての試みが順調なわけでもない。浪江町で実施されたバーチャル商店街サービスの実証実験では「ニーズはあるとわかったが、課題もあった。実用化はまだ先になる」(日産自動車広報担当者)。

 なみえバーチャル商店街サービスでは、スマートモビリティが人を乗せて、荷物も配送する。関係者によると、人が乗らない時間帯にうまく荷物を運べば採算がとれるとみていたようだ。実際には、人が乗らない時間帯に荷物をうまく運ぼうとして、タイミングを合わせるのに難しさもあったという。

次のページ