ハナリ島にある岩場に登るとケラマブルーが見わたせる
ハナリ島にある岩場に登るとケラマブルーが見わたせる

 もう、ハナリ島の透明度はハンパではない。ボートが白い砂浜に近づくと、海の透明度で「船が地上に浮かんでいる」ような錯覚を覚える。海に飛び込むと、熱帯魚がお気楽な風情で群れている。しかも上陸する人が少ないので、貸し切り状態の静けさを堪能できる。

 地元の人が「あそこで弁当を食べるのが最高さ」という岩場の丘に登ると、ケラマブルーが広く見わたせる。泳ぐ人も泳がない人も、ハナリ島は楽園そのもの。だんだん現実と非現実の境目が分からなくなってくる。ここは本当に日本なのか、などと。

【第1位】天国にいちばん近い日本の島 水納島(みんなしま)(沖縄県多良間村)

誰もいない水納島の極上ビーチ
誰もいない水納島の極上ビーチ

 日本に水納島(みんなしま)は、ふたつある。ともに沖縄県で、ひとつは美ら海水族館の近くにあり(本部町)、もうひとつは先島諸島にある(多良間村)。両者とも甲乙つけがたいほど、美しい島。ともに透明な海と真っ白なビーチが広がっている。

 ここでは、悩ましいものの多良間島の沖合にある水納島をチョイス。『不思議な島旅』でも紹介したように、多良間島自体もとびっきり美しい島。そんな多良間島を訪れた際は、思い切って水納島にも足をのばしたい。

真っ白な浜と透明な海が延々広がる
真っ白な浜と透明な海が延々広がる

 サンゴ礁に囲まれた水納島は、人口5人だけが暮らす静かな島。周囲7キロほどの小さな島なのに、延々白いビーチと澄んだ海が広がっているので、広大な島に感じる。どこまで行っても美しいビーチ、どこまで行っても透明な海。聞こえてくるのは、ささやくような波と風の音だけ。

 透明な海は遠浅なので、気づくと、かなり沖合までひとりで泳いでいってしまう。いけない、いけない。気をつけないと、光に充ちあふれた天国のような島から、本当の天国に逝ってしまう。

水納島は港の海も澄んでいる
水納島は港の海も澄んでいる

 コロナ禍が明けたら、こんな青い海、白いビーチに身体をぽんと放り込みたい。光にすっぽり包まれて、年甲斐もなく犬のように駆け出したい。コロナ禍で心身ともに鈍った私たちに必要なのは、きっと広い世界に自身を解放すること。海と島の旅に老若男女は関係ない。幾つになっても、その美しさを全身で感じるからこそ、昨今の環境の変化にも真摯に向き合いたくなるはず。

 2021年、やがてコロナ禍も終息する。来るべき島旅に備えて、今から想像をぐんぐん膨らませたい。澄みきった空の下、島々は、あなたを待っています。