人材サービス会社エン・ジャパンが冬のボーナス支給前に行ったアンケートによると、広告・マスコミで賞与を「支給予定」としていたのは35%と、他の業種に比べて低い結果が出ていた。
早期退職カード対処法
また、内閣人事局によれば、国家公務員(管理職を除く)の冬のボーナス平均支給額は、前年よりおよそ3万円少ない約65万4千円。3年連続の減少となった。民間企業との格差解消が引き下げの要因で、「安定」の公務員にも不況が影響した形だ。
厳しい「冬」の到来は、他からも聞こえてきた。
9日、東京商工リサーチは、今年1月から12月7日までに早期・希望退職を募集した上場企業が90社にのぼったことを公表。これもリーマン・ショック直後の09年(191社)に次ぐ高水準となった。募集人数は判明分だけで1万7600人を超えているという。
問題は、「ここで終わり」ではないことだ。
「希望退職ラッシュはこれからが本番です」
人事コンサルタントで『稼げる人稼げない人の習慣』(日本経済新聞出版)などの著書がある松本利明さん(50)はそう分析し、こう続ける。
「11月中旬から、外資系企業ではポジションオフという名のリストラが始まりました。日本ではリストラが難しいと言われていましたが、今年は業績が軒並み落ち込んだので、整理解雇の流れも来ています」
ともすれば、「明日は我が身」ともいえる状況に、身の振り方を考えずにはいられない。だが、かつては売り手市場だった転職情勢も激変。育成コストがかかる若手は採用控えが続き、リストラ大本命の40代以降ともなれば個人のスキルの市場価値が問われる。
目先に積まれた退職金には翻弄される。企業に残るべきか、軽やかに飛び出すべきか──。
松本さんはこうも言う。
「いざ退職カードが突きつけられたときに、自分を必要としてくれる企業や仕事がある人は転職しても大丈夫です。このご時世、『転職先の条件が自分に見合わない』と選り好みすると、市場価値は一気に急降下し、戻ることはありません。頼みの退職一時金も無職が続くと数年で食いつぶします。社外から声がかからない人は、異動や出向をしてでも会社にしがみつき、その間に選択肢を増やす努力をするのが堅実です」