tenki.jpラボでは、今年も毎年恒例の「日本気象協会が選ぶ2020年のお天気10大ニュース・ランキング」を発表します。

日本気象協会所属の100名の気象予報士が、今年印象に残ったお天気ニュースを選び、結果をランキングにしました。

2020年最も印象に残ったお天気ニュースは「令和2年7月豪雨 およそ1か月にわたる大雨で大きな被害」となりました。

1位 令和2年7月豪雨 およそ1か月にわたる大雨で大きな被害(7月)

日本付近に停滞した梅雨前線の影響で、日本列島は長い期間にわたり大雨になりました。特に九州地方で7月4日から7日に、岐阜県周辺も7日から8日にかけて記録的大雨になりました。

気象庁は本県、鹿児島県、福岡県、佐賀県、長崎県、岐阜県、長野県の7県に大雨特別警報を発表しました。この大雨で、7月上旬に全国のアメダス地点で観測した降水量の合計、及び1時間降水量50ミリ以上の発生回数が共に1982年以降で最多となりました。また、7月中旬は中国地方、下旬は東北地方でも大雨となった日があるなど、球磨川や筑後川、飛騨川、江の川、最上川といった大河川での氾濫が相次ぎ、土砂災害、低地の浸水等により、人的被害や物的被害が多く発生しました。

日本気象協会の調査結果によると、7月3日から11日について、解析雨量(速報版解析雨量)を用いて、特定の条件を満たす線状降水帯を抽出したところ、九州地方において13事例の線状降水帯が確認されました。

■九州だけで13事例の線状降水帯が発生 令和2年7月豪雨の降水量の特徴(日直予報士)

https://tenki.jp/forecaster/r_anzai/2020/07/17/9059.html

■7月の雨雲のようす

https://tenki.jp/past/2020/07/radar/

2位 猛暑日連続記録を続々更新 浜松41.1℃で国内歴代最高気温タイ(8月)

2020年8月は、全国各地で猛暑となりました。8月17日には静岡県浜松市で全国歴代1位タイとなる日最高気温41.1℃を記録しました。

また、岡山県高梁市では8月9日から9月1日まで24日連続で猛暑日となり、これまでの連続猛暑日の最長日数だった大分県日田市の22日連続を26年ぶりに更新しました。

さらに東京都心の猛暑日が8月としては過去最多となる11日となったほか、大阪市でも史上初めて1週間連続で最高気温が37℃以上となるなど、1946年の統計開始以来、8月として東日本で1位、西日本では1位タイの高温となり、猛暑の記録を続々と更新しました。また、28日には、北海道上富良野町や富良野市麓郷で猛暑日となり、北海道で最も遅い猛暑日となりました。

■8月の気温

https://tenki.jp/past/2020/07/amedas/

■日本歴代最高気温 埼玉県熊谷に並び「静岡県浜松市」も(日直予報士)

https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2020/08/17/9406.html

3位 12年ぶりに台風上陸なし 7月の台風発生ゼロは史上初

2020年の台風1号の発生は遅く、台風1号「ヴォンフォン」は、5月12日午後9時にフィリピンの東で発生しました。台風1号の発生が5月以降となるのは2016年以来4年ぶりでした。

また、7月の台風発生数が「0」となったのは、1951年の統計開始以来初めてのことでした。一方で、10月には7つの台風が発生し、10月としては最多タイの発生数となりました。2020年の日本列島への台風の接近は8月に4回、9月に3回、10月に1回の合計7回ありましたが、上陸した台風はありませんでした。

台風の上陸がなかったのは、1984年、1986年、2000年、2008年に続いて、2020年は12年ぶり5回目となりました。

■最新の台風情報

https://tenki.jp/bousai/typhoon/

4位 記録的な暖冬 「初氷」や「初雪」の最晩記録続々更新(1月~2月)

2020年の冬は、冬型の気圧配置が続かず寒気の流入も弱かったため、東・西日本を中心に記録的な暖冬となりました。1月28日には大阪市で日最高気温19.1℃を観測し、1月としては最も高い気温となりました。

2月上旬には北日本に強い寒気が入り、北海道旭川市江丹別では2月9日に日最低気温-36.0℃を観測しました。国内で-35℃以下を観測したのは19年ぶりのことでしたが、強い寒気の流入は一時的でした。冬の便りは平年より大幅に遅れ、東京都心は2月6日に「初氷」を観測、1919年の統計開始以来最も遅い記録となりました。「初雪」は、名古屋市で2月10日、福岡市で2月17日に観測し、名古屋市は119年ぶり、福岡市は111年ぶりに最晩記録を更新しました。

■1月の天候まとめ(日直予報士)

https://tenki.jp/forecaster/k_shiraishi/2020/01/31/7342.html

■2月の天候まとめ(日直予報士)

https://tenki.jp/forecaster/k_shiraishi/2020/02/29/7620.html

5位 梅雨の期間中は記録的な日照不足 各地遅すぎる梅雨明け(7月)

7月は梅雨前線や東からの湿った気流の影響を受けやすく、月間日照時間は北日本太平洋側と東日本・西日本でかなり少なくなりました。東京都心は統計が残る1891年以降、7月として過去最少の47.7時間に、甲府市や名古屋市、大阪市などでも7月最少となりました。さらに、盛岡市は54.3時間、静岡市は56.1時間で、ともに年間を通じて月間日照時間が最も少なくなりました。

各地で梅雨明けが遅くなり、奄美地方は7月20日と過去最も遅く、梅雨期間は71日で最長になりました。九州南部は7月28日、九州北部、四国地方、中国地方は30日、近畿地方は31日に梅雨明けの発表があり、いずれの地域も、1951年の統計開始以来遅い方から3番目から5番目になりました。東海地方と関東甲信地方では8月1日に梅雨明けし、梅雨明けが8月にずれ込んだのは、東海地方で11年ぶり、関東甲信地方は13年ぶりとなりました。

■7月の日照時間

https://tenki.jp/past/2020/07/amedas/sunshine/

■7月の天候まとめ(日直予報士)

https://tenki.jp/forecaster/k_shiraishi/2020/07/31/9156.html

6位 沖縄・九州に立て続けに台風接近 台風10号は接近前から警戒呼びかけ(9月)

9月上旬には、台風9号と台風10号が立て続けに沖縄、九州地方に接近しました。台風9号は、大型で非常に強い勢力まで発達し、1日明け方に沖縄地方に最接近しました。久米島空港で、最大瞬間風速54.5メートル、24時間降水量225.0ミリを観測したほか、3日は長崎県対馬市厳原でも最大瞬間風速46.2メートルを観測しました。この台風に伴う暴風の影響で停電となった地域もありました。

気象庁は、台風10号が接近するおよそ4日前である2日、特別警戒級の勢力で接近、上陸する恐れがあるとして警戒を呼びかけました。台風が接近する前から湿った空気が入り込んだ影響で、宮崎県三郷町南郷では5日から7日にかけての雨量が9月の平年ひと月分以上となる、599.0ミリを観測。また、大型で非常に強い勢力で接近し、5日に沖縄県南大東島で51.6メートル、7日は長崎県長崎市野母崎で59.4メートルの最大瞬間風速を観測しました。

■台風10号のまとめ(日直予報士)

https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2020/09/08/9730.html

7位 観測史上初9月に40℃超え 日本海側で猛暑日続出(9月)

9月に入っても猛暑は収まりませんでした。9月3日は台風9号に向かう南寄りの風によりフェーン現象が発生し、北陸を中心に日本海側の地域で記録的な暑さとなりました。なかでも、新潟県三条市で40.4℃、新潟県胎内市中条で40.0℃と、9月としては国内で初めて40℃以上を観測しました。

さらに、新潟県佐渡市相川でも9月としては82年ぶりとなる猛暑日となったほか、金沢市では前日の2日に続き、日最高気温が35℃以上となり、105年ぶりに9月に2日連続の猛暑日となりました。また、長野市では9月としては1961年以来59年ぶりに日最低気温25℃以上を観測し、北海道北見市でも9月としては初めてとなる4日連続の真夏日を記録するなど、9月になっても暑さに関する記録が更新しました。

■新潟県三条市で 最高気温40℃台 9月としては 全国で初(日直予報士)

https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2020/09/03/9634.html

8位 異例なルートの台風14号 前線と台風で伊豆諸島南部は豪雨(10月)

台風14号は、10月5日午前9時に日本の南の海上で発生し、ゆっくりと北上を始めました。熱帯低気圧情報時には西へ進み中国大陸へ上陸する予報だったものの、その後進路を東寄りに変えて本州へ上陸する予想となりました。最終的には本州の南海上を進んだ後、さらに南下して小笠原諸島へ向かいました。

台風の接近に伴って本州付近にあった秋雨前線の活動が活発化し、四国地方から関東地方の広い範囲で雨となり、8日から10日の3日間の降水量が和歌山県那智勝浦町色川で543.0ミリ、三重県尾鷲市で506.5ミリとなりました。また、台風14号の影響で、伊豆諸島では9日から10日にかけて記録的な大雨となり、10日17時には伊豆諸島南部の三宅村と御蔵島村に大雨特別警報が発表されました。この期間の降水量は三宅島で460.5ミリ、三宅島空港で540.5ミリとなったほか、7日から大雨となっていた八丈島は11日までの5日間で708.5ミリを観測しました。

■台風14号 熱帯低気圧時(発生前)の予想進路(日直予報士)

https://tenki.jp/past/2020/06/06/radar/3/14/

■台風14号 実際の進路(日直予報士)

https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2020/10/12/10120.html

9位 恐怖を感じる猛烈な雨 熊谷で10分間雨量観測史上1位タイに(6月)

6月6日は、上空の寒気や湿った空気の影響で、関東地方は大気の状態が非常に不安定になり、午後は非常に激しい雨や雷雨になった所がありました。埼玉県熊谷市では、午後4時52分までの10分間に50.0ミリの降水量が観測されました。これは、2011年7月26日に新潟県阿賀町室谷で観測された10分間降水量50.0ミリに並ぶ国内観測史上1位タイの記録になりました。

さらに、埼玉県や群馬県ではダウンバーストまたはガストフロントとみられる突風が発生し、非住家の小屋組の損壊などの被害がありました。中でも、群馬県伊勢崎市境米岡から埼玉県深谷市西大沼で発生した突風の強さは風速約40メートルと推定されました。

■埼玉県 6月6日の雨雲の動き

https://tenki.jp/past/2020/06/06/radar/3/14/

10位 桜前線東京からスタート 休眠打破が進まず鹿児島の見頃は4月下旬に(3月~4月)

3月は南からの暖かい空気が流れ込みやすかったため、全国的に気温が高くなりました。今年の桜前線のスタートとなった東京都心は桜開花が1953年の統計開始以来最も早い3月14日となりました。ただ、当日は冷たい雨から次第に雪へと変わり、開花したばかりの桜と雪という冬と春の入り混じるような光景となりました。また、3月29日には関東甲信地方で雪が降り、東京都心では51年ぶりに桜満開後に1センチ以上の積雪を観測しました。

一方で、鹿児島市は、暖冬の影響で十分に気温が下がらなかったことから休眠打破が進まず、4月1日の開花となりました。鹿児島市の開花が福島市や仙台市よりも遅くなったのは1953年の統計開始以来初めてとなりました。鹿児島市では桜の満開も過去最も遅い4月19日となり、開花から満開までの18日間も最長記録となりました。

■東京で桜開花 過去最も早く 今年全国トップ(日直予報士)

https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2020/03/14/7732.html

■雪だるまのお花見 関東の雪リポート1(日直予報士)

https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2020/03/29/7891.html

■春色の世界から白銀の世界へ 関東の雪リポート2(日直予報士)

https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2020/03/29/7892.html

■鹿児島 記録的に遅い桜満開(日直予報士)

https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2020/04/19/7850.html