ちなみに、都電が売却された羽後交通横荘線は、秋田県の横手~老方38200mを結ぶ軌間1067mmの非電化地方鉄道。筆者の訪問時には横手~館合18900mを結んでいた。
最後のカットがホハフ6の車内。夜来の吹雪が旧都電の薄っぺらな側窓の隙間を貫き、座席の上にも残雪が見られた。運転台の主要機器は撤去されたが、座席や天井の白熱灯照明器具などは都電時代のままだった。
このホハフ6は横荘線が全廃された1971年7月まで稼働し、地域の足として立派に再起を果たしていた。
■撮影:1981年8月2日
◯諸河 久(もろかわ・ひさし)
1947年生まれ。東京都出身。写真家。日本大学経済学部、東京写真専門学院(現・東京ビジュアルアーツ)卒業。鉄道雑誌のスタッフを経てフリーカメラマンに。著書に「都電の消えた街」(大正出版)、「モノクロームの私鉄原風景」(交通新聞社)など。2019年11月に「モノクロームの軽便鉄道」をイカロス出版から上梓した。
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