もし、あなたが私のアドバイスに従わず、死ぬまで子どもに財産を与えないという世間一般の方法を選んだとしよう。あなたの寿命が86歳で、第一子とは28歳差だとする。すると、その子どもがあなたの遺産を相続するのは58歳のときになる。これだとすでに、財産から最大の価値を引き出せるピークの年齢をはるかに上回っている。
ピークの年齢を正確に示すデータは見当たらない。だが、私が人間の生理学や精神的な発達について調べた限り、私の結論は「親が財産を分け与えるのは、子どもが26~35歳のときが最善」というものだ。金を適切に扱えるだけ大人になっているし、金がもたらすメリットを十分に享受できるだけの若さもある。
実際には、こんなに若いときに財産を譲り受ける人は少ない。かなりの年齢に達したときに、親の遺産を相続するケースがほとんどだ。だが、あなたが与える立場ならタイミングを自分で判断できる。何度も言う通り、子どもが金から最大の価値を引き出せる年齢を過ぎると、あなたが分け与える財産の価値はどんどんと落ちていく。
子どもにもっとも効果的な形で財産を分け与えたいのなら、額の多寡だけではなく、できる限り最適なタイミングを考えるべきだ。
(本原稿は、ビル・パーキンス著、児島修訳『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』からの抜粋です)
ビル・パーキンス
1969年、アメリカテキサス州ヒューストン生まれ。アメリカ領ヴァージン諸島を拠点とするコンサルティング会社BrisaMaxホールディングスCEO。アイオワ大学を卒業後、ウォールストリートで働いたのち、エネルギー分野のトレーダーとして成功を収める。現在は、1億2000万ドル超の資産を抱えるヘッジファンドのマネージャーでありながら、ハリウッド映画プロデューサー、ポーカープレーヤーなど、さまざまな分野に活躍の場を広げている。