●【その参】ゆとりなき投資は行うべからず 個人には「持たざるリスク」はない
株式相場の急激な上昇局面などで、市場関係者が「持たざるリスク」という言葉を使っているのを聞いたことがあるかもしれない。顧客から預かった資金を増やす使命を負う機関投資家にとって、相場の波を逃しては運用成績に響きかねないため、「資産を持たないこと自体がリスクになる」との意味で使われるフレーズだ。
だが、一般的な家庭生活を営む個人にも、これが当てはまるわけではない。個人の資産形成においては、機関投資家のように他者から成果を求められるといった制約はなく、普段の家計に支障のない範囲で、「資金にゆとりを持って行った方がよい」(大江氏)とのアドバイスもある。
積み立てでも一括投資でも、大江氏は「投資資金がいきなり3~4割値下がりしても耐えられる金額で行った方がよい」と話す。“耐えられる”とは経済的な意味のみならず、精神面を含めてだ。そうでないと、相場急落時には夜も寝られなくなってしまいかねないだけに、ゆとりなき投資は禁物。懐も心も余裕を持った上で、じっくりと運用に励みたい。
(ダイヤモンド編集部 竹田幸平:記者)