月間利用者数1億人を超える巨大グルメサイト「食べログ」。このサイトに表示される評価を巡って、6月、裁判があった。構造の課題と採点文化を読み解く。AERA 2022年7月11日号から。
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「炭火焼肉・韓国料理KollaBo」を運営する韓流村が、チェーン店であることを理由に不当に評価点を下げられたとして、グルメサイト「食べログ」を訴えた裁判。6月16日、東京地裁は、アルゴリズムの一方的な変更が「優越的地位の乱用」を禁じた独占禁止法に違反するとして、食べログを運営するカカクコムに3840万円の賠償を命じた(カカクコムは控訴)。
ITジャーナリストの三上洋さんはこの件について「考えるべき点は三つある」と説明する。一つは口コミレビューの信頼度、もう一つがプラットフォームが力を持ちすぎていることの弊害、そして最後が有料ビジネスとの関わりについてだ。
「やらせ」の問題常に
食べログの点数は、ユーザー評価を単純平均したものではない。公式サイトによれば、食べ歩きの経験が豊富なユーザーの影響を大きくするというのが基本的な考え方だという。つまり、多くレビューを書いたユーザーの評価は、レビューを数件しか書いていないユーザーの評価よりも重みがあるということだ。ランキングサイトにおいてこうした加重平均の方法が採られるのはめずらしいことではない。
「口コミレビューには、やらせレビューという問題が常について回ります。Amazonなどは数百億円ともいわれる費用をかけて対策をしていますが、食べログのアルゴリズムも、そういったやらせレビューの影響を薄めるためにあるともいえます」(三上さん)
食べログは、月間利用者数1億1580万人(2021年3月)の巨大プラットフォームだ。
「グーグルで店名を検索しても、店の公式サイトより先に食べログが表示される」というのは愛知県内で3年前から飲食店を営む伊東太一さん。客に正しく情報を届けるには食べログを使うしかないと考え、“有料プラン”を契約している。開店当初は、食べログの営業代理店や飲食コンサル業者から、営業の電話が何度もかかってきたという。