「食べログの存在感が強すぎて、その圧に負けた感じです。どうしようもなくそこにあるものだし、お金を払うしかない、と諦(あきら)めて付き合っています」
食べログには店舗向けの有料集客サービスがあり、月額1万円から10万円まで四つのプランが設けられている。契約の有無が点数やランキングに影響することはないが、「標準検索」の場合、会員店舗が優先的に表示される。さらに食べログ経由で入ったネット予約には、ランチ1人あたり100円、ディナー1人あたり200円の手数料が店舗に課される。
ユーザー向けにも月額300円+税の有料サービスがあるが、この売り上げは食べログ全体の収益からみれば大きくはない。収益源の約8割は飲食店経由が占めているのだ。
食べログが主語に
そうしたビジネスをしている以上、正当な評価ができるのか、という疑問は常につきまとう。
「私は点数は公正に出ていると思いますが、それは証明できません。本来は口コミなどは直接的なビジネスと離れたところでやるべきだし、構造としてやはり無理がある」(三上さん)
「グルメサイトは消費者のためのサービスなのか、飲食店のためのサービスなのか。収益源が飲食店であるなら、もう少し店に寄り添ったサービスであってほしい」(伊東さん)
食べログのスタンスが当初とは変わってきた、と指摘するのはグルメブロガーのフォーリンデブはっしーさんだ。「データベースとして優れているし、使い勝手もいい」と長年食べログを愛用している。投稿したレビューは1800件以上。
「以前はあくまでプラットフォーマーとして場を提供する、というのが食べログのスタンスでした。みんなのレビューから参考となる点数をはじき出すからそれを活用してください、という感じ。ユーザーあってこその食べログだった」
やがて食べログの影響力が高まると、“主語”がユーザーから食べログに変わった、とはっしーさんは見ている。「食べログアワード」の表彰や、「グルメ著名人」の公認などの取り組みがその一例だ。
「食べログが自分たちの影響力を使っていろいろなことをやり始めた。食べログ自身がスタンスを変えてしまったのが今回の件にもつながったのではないか」(はっしーさん)
(編集部・高橋有紀)
※AERA 2022年7月11日号より抜粋