
2020年6月下旬に発売される予定の、デジタル一眼レフカメラのEOS Kiss X10i。その実力に実写も交えて迫る。エントリー機「キス」にしておくには惜しいほどの充実した機能・性能だ。
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キヤノンEOS Kiss(イオス・キス)といえば、昨今はミラーレスのAPS−C機のEOS Kiss Mのことを指すことが多い。ところがここにきて、一眼レフも忘れては困るとばかりに、EOS Kiss X10iが発売される。
カメラ業界では現在一眼レフからミラーレス機への移行が粛々と進行中であり、もちろんキヤノンとて例外ではない。この時代にあって、一眼レフのKissをラインアップに加えることにどのような意味があるのか考えてみたい。
ひとつには、世界的な視野でみると一眼レフの市場がまだ無視できないほど大きいことがある。特に初心者層に訴求するには、スマートフォンとの差別をはかる必要がある。写真を撮る装置として存在を強く主張できる伝統的な一眼レフのフォルムはカメラを購入する動機の一つとなるだろう。となれば、一眼レフのEOS Kissシリーズにも大きな期待がかかるのは当然のことといえる。

また、昨年登場したミドルクラスEOS 90Dの想像以上の人気の高さも無視できない。ここでミラーレスと一眼レフの優劣を取り上げるのはやぼというものである。本誌読者には説明無用だろうが、一眼レフは必要な人には必要なカメラである。しかも、一眼レフでありながら、ライブビュー撮影でも快適なAF動作だから、一眼レフの中にミラーレス機を内蔵したハイブリッドカメラとして存在意義が生まれるのである。撮影者は撮影条件や被写体、自分の好みに応じて、光学ファインダーとライブビュー、両者の撮影方法を使い分ける楽しみを味わえる。これは実用面のみならず操作の楽しみにもなるからEOS Kiss X10iを選ぶ理由にもなる。