一方のEOS Kiss X10iは約7コマ/秒の連写機能、独立したAF ONボタンの採用で素早い操作設定を可能としている。ミドルクラスのカメラと同時に使用しても、その動作には実用上の不満は感じないし、特にデュアルピクセルCMOS AFによってライブビュー撮影時のAFも向上し、不満は少なくなった。顔認識、瞳AFも精度が向上している。タッチAFも思いのほか素早く機能する。大口径レンズでも精度の高いAF撮影が可能だ。外装の仕上げ、ボタン、スイッチ類の感触、シャッター動作音もまずまず。光学ファインダー撮影時でも顔認識機構が加わるなど、意欲的な機能も搭載している。

ミラーレス機では、EVF(電子ビューファインダー)やライブビューの性能が大幅に向上したが、一眼レフの光学ファインダー独自の見え方とは、根本的に異なる。光学ファインダーはダイレクトな光を肉眼で受け止める感覚だ。本機の光学ファインダーの倍率をもう少し大きく、鮮鋭性を向上させれば一眼レフの個性と主張を強く打ち出すことができ、ミラーレス機のEOS Kiss Mとも仲良くやっていけるのではないだろうか。
筆者は早くも次モデルに期待している。(写真・解説/赤城耕一)
※「アサヒカメラ」2020年5月号より抜粋。本誌では、「カメラ初心者のためのEOS Kiss X10i 最初の一歩」として露出補正やピントの合わせ方などを図解してさらに詳しく解説、主な仕様やAPS-CサイズEOSの比較とともに、6ページにわたり掲載しています。