やわらかな顔立ちからは想像もつかぬ強い言葉が、次々こぼれた。エンターテイナー、ピーター・アレンの生涯を描いたミュージカル「THE BOY FROM OZ」。この作品でピーターの同性の恋人、グレッグを演じるのが末澤誠也(Aぇ!group)だ。一度は芸能界を去る決意をしたものの、ある縁を機に、この道で生きることを選んだ末澤。今、その覚悟を明かす。
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──初めてのミュージカルへの挑戦です。
自分がお客さんとしてミュージカルを見に行ったとき、ストレートプレイとはちがった「歌があるからこそ伝わるもの」をすごく感じたんです。だから一回チャレンジしてみたいなあってずっと思ってました。
いやー、でも想像以上に難しかったです。発声もそうですし、歌い方とか抑揚、あとは思いがあふれて台詞が歌になったっていう表現の仕方とか。僕らはライブでロックな曲を歌うことが多いんですけど、そういうときの“張る”発声とは全くちがいましたね。
──ピーターを演じるのは坂本昌行さん。ジャニーズの大先輩の恋人役を務めるわけですが、その難しさは?
坂本くんだから難しいというのはなかったです。それより、ピーターとグレッグの関係性をしっかり見せるのが難しくて。グレッグが出るのは2幕だけなんですけど、その短い時間のなかでピーターの人生の一番楽しい時期と地獄を見せる。ピーターにとって、それだけグレッグっていう存在は大きかったんです。
演出のフィリップ(・マッキンリー)さんにいろいろ教えていただいてからは、僕的にはだいぶグレッグが出せてきてるんかなって気がしてます。グレッグってけっこう不器用な男の人なんですよね。伝えたいことを面と向かって伝えられへんかったりする。僕も周りに不器用って言われるし、そういうところは似てるなと思いました。
──照れてしまう?
照れっていうよりも、まあいっかってなっちゃうんですよね、僕は(笑)。物事を俯瞰で見てるから、ドライなのかもしれないです。たぶん、グレッグはそうじゃないんですけど……。