●「著者からのメッセージ」
人一倍、見た目が重視されるモデルの世界にいる私が言うと、信じがたい言葉に聞こえるかもしれないけれど──。
何が幸せで、何が豊かな人生なのか考えるとき、本当に大事なのは見た目ではない。
すべては心の持ちようだ。そう実感している。精神論のように聞こえるかもしれないけれど、20年間、世界のランウェイを歩き、究極の美の価値観に触れてきた私がいま言えること。
他人と外見を比べて美を追求しても、幸せを感じるのは一瞬で、すぐにまた焦燥感に苛(さいな)まれるようになる。
上には上がいるし、人の欲望には際限がない。
だから他人と比べず、自分の美を追求していくことが、幸せへの第一歩なのだ。
それに、見た目の良し悪しというのは、他人の主観に過ぎない。
世の中できれいとされている人は誰が決めたのか?
それは、あなたではないはず。子どものころ背が高過ぎて、「巨人だ」「宇宙人だ」と揶揄(やゆ)されていた私も、モデルの世界に入れば、そこら中にいる同じような体型の人たちの中の一人でしかなかった。
自分が特別に変わっていると思っていても、別の世界に行けば、それが当たり前になることがある──世界は広いのだ。
美の価値観は多種多様。
だから美しくなりたいと願うなら、”自分にとっての美しさ”とは何か──。
”どういう類(たぐ)いの美しさ”を手に入れるべきなのか──。
この本をきっかけにして、とことん考えてみるのはいかがだろうか。
自分らしさを追求し、磨く。
それが、誰もが最高に輝ける秘訣だと思っている。
私もそうやって、トップモデルを目指してきた。
この本では、職業上”美しさとは何か”ということを、つねに考えてきた私のビューティーチップスをお話ししていこうと思う。
これはあくまでも、私個人の話であり、みんなに当てはまる法則ではない。
しかし、この本を手にとってくれた人たちは、きっと今よりもベターな自分を求めているはず。
それは、私も同じ──。
その探究心が、自分をさらなる高みへ連れて行ってくれるはず。
(『冨永愛 美の法則』PROLOGUEからの抜粋です)