政府の行き過ぎた新自由主義的政策により、超格差社会となってしまった韓国。短い間にあまりにも急激な成長を遂げる中で、この国が抱えざるをえなくなったさまざまなひずみを詳しくルポしている。

 重たいカバンを引きずって深夜まで塾をはしごする小学生や、就職もできず、卒業を猶予しながら恋愛さえあきらめて生きている大学生がいるかと思えば、50歳そこそこで退職させられ、非正規で平均73歳まで働きつづけなければならない中高年や、ITの浸透により情報格差の中で取り残される高齢者もいる。どこを見渡しても希望がない。OECD加盟国で最高といわれる自殺率も深刻だ。

「少子・高齢化によって地球上から消える危険国家」の第1号に指名されたというこの国の惨状に、日本の近未来が見える。(平山瑞穂)

週刊朝日  2020年1月24日号