■三角巾やスカーフとしても使える チロルの大判ハンカチ
今回のプティ・タ・プティのテキスタイル/title:チロル。
「喫茶チロル」の外観や窓の鉄柵に惹かれて立ち寄ったことがきっかけで、柄のデザインへとつながったチロル柄。初めて訪れた頃は、テントの色がピンクとグレーでした。創業当時は赤と黒だったものが、経過と共に色が変化したそうです。そして数年前の改装時に、再び創業時と同じ色に。その様子を天神さんの市で見つけた昭和初期のキャンディーの包み紙を使って表現しています。くるんとした窓の鉄柵がポイント。十字模様は、長年育まれてきたお客さんとの交流を表現しています。縁取りに2色の糸を使い、波打つような加工を施した大判ハンカチは、首に巻いてスカーフとして、また今回のように三角巾としても楽しんでいただけます。胸元とエプロンにチロル柄をあしらったエプロンは、展覧会の時にチロルのお母さんをイメージして製作したものです。
■懐かしさを味わいながら 贈り合う時間
今回訪れた「喫茶チロル」は、常連さんと旅人がふらりと立ち寄れる気取りのない場所です。開店から50年の間には様々な出会いのエピソードがあるようです。ここで初めてのデートをして結婚、そして家族が増え、再び訪れ、通い続ける……人と人とのつながりや親、家族を思う空気が、ここにはあるような気がしてなりません。クリスマスシーズンは、そういうことをふと感じる季節でもありますね。レトロ喫茶で過ごすクリスマス、贈り物を持ち寄って広げ、他愛ない話で笑い合う、そんな温かい時間を京都でどうぞ過ごしてくださいね。
(撮影/竹下さより、編集協力/江下祥子)
ナカムラユキ
京都市在住。イラストレーター、テキスタイルデザイナー。著書に『京都さくら探訪』(文藝春秋)『京都レトロ散歩』(PHP)他多数