(撮影/伊ケ崎忍)
(撮影/伊ケ崎忍)

 外から見たらよくわかることってたくさんある。例えば、本島中部の金武町は昔、沖縄にしかない街の空気感や雰囲気がものすごくあった。でも今は近代化されすぎて、内地と何も変わらないと感じてしまう。
 
 これはボクの持論だけど、日本国内でも近代化していく街や地域はたくさんある。でも近代化された街は、その瞬間は最先端に見えたとしても、ほんの5年、10年経つと古い街、遅れた街になる。
 
 昔の街並みをなんとか保とうとすることは、ただ時代遅れになることではない。古き良き時代を大切にしている、大切なことがそこに存在していると誰にでも伝わるものになる。それこそ人の心に触れるものであり、そういうものを見に行きたいという人はたくさんいる。それが人を引きつける観光資源になる。
 
――7年前からマレーシアに住まれて、海外にいるから見えてくる良さや課題もあるんですね。
 
 それもある。文化や歴史の保存という点では、正直、日本はもう取り返しのつかないところまで来ている。京都や金沢でもどんどん近代化が進んでいて、特に京都は文化を守らなければいけない街だったはず。
 
 ヨーロッパでは建物を壊すにも許可がいるほど、厳しい法律の下で歴史的な建築物や街並みが守られている。もっと日本もその街にしかない建物や風景を保護することが必要なんじゃないのか。国をあげて文化を守り、観光資源にしていくことを本気で考えないと、大切なものをどんどん失ってしまう。そういう危機感がとてもある。
 
――今回の再建支援アイテムは、購入する人がそういうことを考えるきっかけにもなるかもしれません。
 
 あくまでもボクの考え方だから押し付けるつもりはない。ただ何よりも人の思いが集まることに意義があるんじゃないかと。残念ながら沖縄のシンボルである首里城と、多くの資料は焼けてしまったけれど、「みんなの力でもう一度、首里城を取り戻そう」という思いが、県内・県外の人たちと少しでも共有できたらいい。再建されたものは、確かに新しくリメイクされたものではあるし、人によってはリアルじゃないと言うかもしれない。でも、そこに人の思いが乗っかって新たなスタートをきることができたら、それは単なるリビルド(建て直し)を超える意味を持つ。それがすごく大切なこと。
 
 他人事ではなく、ほんの少しでも自分の思いを乗せる。そのサポートをボクはしたい。
 

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