2020年度に導入される大学入学共通テストへのカウントダウンが始まっている。大学合格実績をひもとくと、変化の時代にも耐えうる「強い高校」が見えてきた。AERA 2019年11月4日号では、東京大、京都大、大阪大など難関10国立大への合格者数を調査し、独自にランキング。全国160高校の「合格力」を特集した。ここではその一部を紹介する。
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今年受かれば、逃げ切れる。そう、思っていた。
2020年度(21年入試)から、文部科学省は大学入試のセンター試験を廃止し、共通テストを取り入れる。英語では「読む・聞く・話す・書く」の4技能を測り、国語と数学は記述式問題が導入される。今の高校3年生は来年の入試で志望校に落ちてしまった場合、これまでの入試とは別の対策を強いられることになる。
大阪府の公立高校で教鞭を執る20代の女性教員は、大学入試改革前の逃げ切りを不安視する。
「浪人への抵抗感が増して、頑張れば関関同立の可能性がある生徒がチャレンジ校を下げるといった安全圏の流れが出ています。上位校も同様に考えるはずなのでウチみたいな中堅校が一番あおりを受けるのでは……」
実際に、こんな分析もある。
埼玉県の雄、県立浦和高校。国公立に「強い」高校として、長年多くの合格者を出してきた。浦和は東京大41人、京都大18人、北海道大16人、東北大41人と安定して生徒を送り出している。注目は、私大合格者数の多さだ。早稲田大143人、東京理科大166人、明治大202人、中央大91人とかなり多い。国公立大に強いイメージがあるだけに、教育関係者は意外だと口をそろえる。いったい何が起きているのか。
「来年が最後のセンター試験で、浪人した場合は新テストを受けないといけない。混乱に巻き込まれる前に決めてしまおうと、来年は併願率がさらに高くなると予想されます。19年の浦和の私大合格者数の内訳を見ると、ほとんどが浪人生。万が一のことを考えて、すでに併願を増やしていたのではないでしょうか」
そう分析するのは、大学通信の安田賢治常務だ。明治大や中央大の数が多いのは、これまで早慶を押さえにしていた生徒が念のためランクダウンさせた可能性が高いという。