SNSやマッチング・アプリが普及した現代は、不倫への足がかりがかつてなく手近なものになっている一方、不倫に対する世間の目はいっそう厳しくなっている。そんな中で、人はなぜ不倫をするのかという問いを深く掘り下げている。
世界各地でカップルセラピストとして活躍する中で直接触れた幾多のケースを通じて、著者は結婚生活と不倫にさまざまな疑問を投げかける。不倫を「道徳的に間違っている」と糾弾するだけでは、本質は見えてこないのではないか。長年、夫に虐待された妻がする不倫も、咎められるべきなのか。配偶者にすべてを求める現代の結婚モデルに問題はないのか。
不倫を擁護しているわけではない。よりよい結婚生活を営む上でのヒントをそこから汲み取ろうとしているのが本書の真骨頂。(平山瑞穂)
※週刊朝日 2019年6月28日号