性に関する様々な事象を取り上げながら、「なぜ自分の欲望が他人を傷つけることになるのか?」という現代社会の疑問について、哲学者とAV監督、現代美術家が答えを探した対談集。
少年少女漫画にあふれるポルノ表現、映画やテレビで流れる性暴力表現などをめぐる規制する側とされる側との攻防、#MeToo運動やLGBTの社会的承認などの新たな動きを題材に、「性的欲望」と現代人の心のあり方の変化について論じている。たとえば、ある表現がポリティカル・コレクトネス(政治的・社会的に公正・中立な表現)にかなっているかどうかについて、ネット上で飛び交う過剰な要求にどう対応すればいいのか話し合う。
ネットでの「炎上」や表現規制などについて関心のある人は、まず読むべき必読書である。(三宅香帆)
※週刊朝日 2019年6月21日号