体罰・セクハラ・過酷な部活動など、学校を舞台として生じるさまざまな「ハラスメント」の問題点を鋭く喝破している。「巨大組み体操」問題の火付け役となった著者が放つ本書の最大の特徴は、非典型的な事案にも光を当て、そこに向けるべき視点を提供していることだ。
学校内での暴力といえば、つい反射的に「教師から生徒へ」という構図を思い浮かべがちだが、教師=加害者と決めつけるのは勇み足であると著者は説く。生徒から教師、教師から教師、保護者から教師へのハラスメントもありうる。土日も含めて顧問を強要されるブラック部活動でも、被害者は教師だ。
特定の立場の人々を敵視しているだけでは、問題は解決しない。教育の名のもとに「消える化」している事象の数々に目を向けよというのが本書の主眼だ。(平山瑞穂)
※週刊朝日 2019年5月24日号