ミラーレス時代になっても開放F2.8通しの超広角/標準/望遠ズームの3本を通称大三元レンズとすることに変わりはないようだ。Zのボディーと同時に登場した開放F4に続く、大口径標準ズームレンズの登場だ。当然Fマウントにも同じ仕様のAF-S NIKKOR 24-70ミリメートル f/2.8E ED VRがあるが、単純なスペック比較でも両者は異なる。Fマウントのほうは16群20枚構成だが、こちらは15群17枚構成だ。
開示されているMTFだけをみれば、とくに広角域では周辺までの描写が本レンズのほうに余裕があるようにみえる。素人考えではレンズ枚数が多いほうが優れたレンズだと単純に判断してしまいがちだが、Zシリーズではフランジバックの距離が短くなり、光学設計に余裕が出たのだろう。実際に撮影画像を見るとその描写性能は舌をまくほどである。
またレンズの構成枚数が少なくなったこと、手ブレ補正(VR)を内蔵する必要がないためか、重量は約265グラム軽量化され、全長も30ミリ近く短い。最短撮影距離もズーム全域で0.38メートルになり、簡易マクロとしても使える。
ニコンによればAF駆動をマルチフォーカス方式とすることで高性能化を達成したとされる。これは2組のAF駆動ユニットの連係により二つのフォーカス群の位置をミクロン単位で厳密に制御、近距離収差を補正する仕組みだ。加えて2枚のEDガラスで軸上色収差を補正し、焦点域、撮影距離を問わず、周辺部まで高い解像力を得ることができるという。また従来のナノクリスタルコートに加え、新開発の反射防止コーティングのアルネオコートを採用。これはレンズ面に対して垂直に入射する光に対して高い効果を発揮するようで、ナノクリスタルコートとの併用により可視光全域で超低反射率を実現したとしている。
高級ズームだけあり動作感触に優れ、フォーカスリングとは別にコントロールリングを装備。また撮影距離や被写界深度情報を表示する表示パネルを搭載。広角域での目測撮影など、Fマウントレンズのそれと同等の撮影を可能にしていることは高く評価したい。取りまわしも描写もFマウントレンズのそれと比較しても優れている。同仕様のレンズの中では最高峰に位置するといっても過言ではないだろう。
写真・文 赤城耕一
●焦点距離・F値:24~70ミリ・F2.8
●レンズ構成:15群17枚(EDガラス2枚、非球面レンズ4枚)
●画角:84~34°20′
●最短撮影距離:0.38メートル
●最大撮影倍率:約0.22倍
●フィルター径:φ82ミリ
●大きさ・重さ::約φ89×126ミリ・約805グラム
●価格:税別標準30万5500円(税込実売29万9700円)
●URL:https://www.nikon-image.com/
●TEL:0570-02-8000
※アサヒカメラ2019年4月号より