段ボールに魅せられた著者がアジアからアフリカ、欧米まで約30カ国を旅したエッセイ集。旅の目的は段ボールの収集で、それも使用済みのものだけ。人の手を経たところに想像をかきたてられる要素があるという。
市場などで拾ったりもらったりしたものを用いた「段ボール財布」などを作るワークショップも国内外で開いてきた。副題のアップサイクルとは、廃棄物に価値を与える活動を意味する。著者を追ったドキュメンタリー映画「旅するダンボール」が昨年12月に公開された。
下調べをしないのが流儀。ブルガリアでは、シリアで活動する赤十字団体の名が入った救援物資用の段ボールを見つけ、どうしてここにと推理する。その都度「なぜ」と考えていく中から、「世界」の仕組みが浮かびあがってくるのが面白い。(朝山 実)
※週刊朝日 2019年2月15日号