「オリジナルな味を、とみんな頑張るんだけど、ラーメンの味ってある程度出尽くしたのかなと思うんですよ。ただ、だからといって一時的に人気が出るラーメンを作ってもダメなんです。オリジナルを目指すなら、その後ラーメンの年表に載るようなことをしないとと思いながら作っています」(石塚さん)
女性客を取り込んだことで、ラーメンの可能性を一気に広げた石塚さん。味以外でも、快適にラーメンを食べてもらえるように内装や細々した部分まで徹底的にこだわっている。「ラーメン屋だからそんなの気にしないでしょ」というのは「Due Italian」ではNGだ。箸入れは一人ひとつずつ用意し、お客さんが向き合わないように壁向きで食べてもらえる席をレイアウトした。
「ラーメン屋は汚くてもいい、ラーメン屋だから不愛想でいいという時代は終わった」
石塚さんはそう話す。
そんな「黄金の塩らぁ麺 Due Italian」石塚さんが選ぶラーメンは、店主の故郷、そして尊敬する先人への思いが溢れるラーメンだった。
■ラーメンで生きていくしかなかった店主が辿り着いた究極の一杯
神奈川県南西部にある湯河原温泉で有名な湯河原町に、大行列を成しているラーメン店がある。「らぁ麺屋 飯田商店」だ。湯河原駅から徒歩9分の住宅街の中にあるお店だ。
今年秋にはラーメン業界で最高権威とも言われるランキング本「TRYラーメン大賞」(講談社)で2連覇を果たす。食べログの平均点は3.99点、全国のラーメン店51099軒のうち全国6位、神奈川県1位(2018年12月21日現在) となっている。
「飯田商店」の出すメニューは、スープ、具材、自家製麺の仕込みのほか、タレ、麺、スープ、盛り付けなど ラーメンを作る工程すべてを飯田さん一人で行う。従業員はもちろんいるが、ラーメン作りに関しては飯田さんがお客さん一人ひとりの一杯に徹底的に向き合う。
それほどこだわるラーメンなので、仕込みも自ずと大変になる。そういった事情もあってか、「飯田商店」の営業時間は午前11時~午後3時までとたった4時間。行列が長くなりすぎた場合は午後3時前でも並べなくなることもある。1日のお客さんは200人程度が限界だ。行列が長くなりすぎると近隣に迷惑がかかるということで、整理券制を導入しているが、整理券を取るための順番争いも発生しており、その人気は留まるところを知らない。