自分のことを特別な存在だと思う人は、どれだけいるでしょうか?
サッカーのイングランド・プレミアリーグのチェルシーやマンチェスター・ユナイテッドなどの監督を務めたジョゼ・モウリーニョは、自分のことを「スペシャルワン(特別な存在)」と称したことがあります。
しかし彼のように、自分のことを特別な存在と言える人はほとんどいないでしょう。
私自身、サッカーがとにかく上手くなりたくて18歳でブラジルに渡り、引退後はJクラブのコーチや育成指導者、強化担当、日本サッカー協会の技術委員長などを経験させてもらってきました。経歴を見ると、他の人とは違うと感じるかもしれませんが、私自身はいたって普通の人だと思っています。
私は日本サッカー協会の技術委員、そして技術委員長時代に、3人のサッカー日本代表監督の招聘に携わりました。イタリア人のアルベルト・ザッケローニ。メキシコ人のハビエル・アギーレ。そしてフランス生まれでボスニア・ヘルツェゴビナの国籍を持つ、ヴァイッド・ハリルホジッチです。
私は、周囲にいるスペシャルな人たちと対等に仕事をするために、とても多くの「準備」をしてきました。たとえばリサーチ、根回し、情報収集、指針作成、発信のための資料作り、組織内のコミュニケーション……。そこには時間と手間を惜しまず、熱意と労力を注いできたと自負しています。
言い換えれば、「特別な存在」になるためには、圧倒的な準備なくして成功はあり得ないと思っています。それはおそらく、これを読んでいるあなたにも、当てはまることではないかと思います。
私に才能があったとは、今でも思っていません。サッカーが好きで、サッカーで飯を食いたい。そのために自分ができることは何かを考えながら生きてきました。選手として実績を出したわけではなく、引退後は指導者の道に進みましたが、数々の挫折があり、無職の時期も経験しました。