──プーチン氏が撤退を決断することはありますか。
プーチン氏の性格を考えると、途中であきらめるとは考えられない。今後も強気で戦争を継続していくと思います。戦争は、始まった瞬間か、終わりが見えないと終わらせるのが難しい。今は、戦争を止めるのが難しいゾーンに入っています。長期化の原因は、ロシアとウクライナの双方が、大きなダメージを負いながらもまだ戦える余裕があることです。
──あなたは、プーチン氏や政権を担う人たちにどのようなアドバイスをしているのですか。
たとえ私がアドバイスをしても、それで動くような人ではありませんよ(笑)。これは、どの国の大統領も同じです。もちろん、それは良い大統領の資質でもあります。
ただ、私はウクライナで起きている現状を正しく伝えようとしています。あとは、国際社会がロシアをどう見ているのかですね。今のウクライナは、ロシアをどう見ているのか。あるいは、日本から見た時のロシアはどういうものなのか。そういった話をしています。
──2月24日の開戦前日まで、ウクライナにいたそうですね。その時の様子はどうでしたか。
ロシアからの圧力はあっても、多くの人は「最終的には戦争は起こらないだろう」と考えていました。私は、戦争になるだろうと感じていましたが。
──一方、ロシアの人たちにとっては、ここまでの戦争の長期化は予想外だったのでは。
多くのロシア人は、この戦争は数週間で終わると予想していました。それが、どんどん沼に引きずり込まれています。誰から見ても戦争が長くなりすぎている。一方で、ロシアもウクライナも平和的解決に向けての準備は進んでいません。
──プーチン氏は、ウクライナ東部のルハンスク、ドネツク、南部ザポリージャ、ヘルソンの4州をロシアに併合しました。これに対し、ゼレンスキー氏は2014年にロシアが併合したクリミアを含む「全領土の解放」を掲げています。
プーチン氏にとって、併合した領土を手放すことは屈辱的なこと。ゼレンスキー氏にとっても、自分たちの土地を奪われているので、後に引けない。さらに、ウクライナ軍は欧米から軍事支援を受けている。さきほども述べたように、今の状況はお互いを破壊し尽くすことが目的になっていて、停戦への道筋が難しくなっています。