泥沼の戦いが続くウクライナ情勢。戦争はロシアの一方的な侵略で始まったが、平和的解決には対話を重ねるしかない。プーチン大統領は今、何を考えているのか。ロシアの元外務次官で、ロシア政府に国際情勢に関する助言を行ってきたアンドレイ・フョードロフ氏に、停戦への道筋を聞いた。
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──今年2月に勃発したロシアとウクライナの戦争は、開戦からまもなく10カ月になります。戦争が長期化するにつれ、プーチン氏が核兵器を使用するのではとの懸念が高まっています。
大きな問題は、従軍しているロシア軍兵士の一部に「核兵器を使うべきだ」という考えがあることです。これは、とても危険なことです。
ただ、プーチン氏は核兵器の使用を認めていません。もし、ロシアが核兵器を使用すれば、世界中がロシアを非難するでしょう。また、核兵器を使用する国が広がる可能性があります。
──プーチン氏は「保有するあらゆる手段を行使する」と、核兵器の使用をほのめかしています。
そもそも、核兵器を使用しても、現在のロシア軍の軍事作戦が大きく好転することはありません。
なぜなら、使うことができるのは広島や長崎で使用された核兵器よりもはるかに小型のものでしょうから、破壊力は小さく、それで戦況が変わることはありません。「核兵器を使われた」という精神的なダメージは与えることはできますが、代償のほうが大きいのです。
──ロシア軍によるミサイル攻撃や残虐行為に、国際的な批判が高まっています。
今回の戦争は、20世紀の戦争とはまったく違うものになってしまいました。領土を取るために、遠隔から攻撃できる。今回の戦争で大きな役割を果たしているのは、ドローン兵器に代表される高度に機械化された兵器の数々です。この戦争は、人間同士が戦うのではなく、機械化された兵器によってお互いを破壊し尽くす。そのため、道路や電力、インターネット網などのインフラ施設などへの攻撃が続いています。