――本作は舞台がオリジナル。コロナ禍で中止になったことで映画化されることになった。映画ではより音楽が織り込まれた物語を意識。離婚寸前の夫婦の心情をさらに丁寧に紡ぐ。映画で圧倒的な歌唱力で魅せる二人だが、スタジオ録音は別々に行われたという。
事前に歌だけ収録する、というのは実はよくあるパターンです。映画「レ・ミゼラブル」では、歌いながら撮っているという感じでしたが、むしろそちらが例外中の例外。私もラミンもスタジオで別に撮ることに関してはなじみのあるやり方だったと思います。
でも、この映画では練習期間はまったくない状態でした。音源が送られてきてリハーサル、稽古がない状態で、スタジオへ行って録音をしたんです。1日でやり遂げました(笑)。今回歌った中で特に好きな曲と言えば、「WHAT LOVE DID」です。喜びや未来への希望が歌われているので。この歌は道を歩きながら歌うというシーンだったのですが、撮影中に周りの家の窓から人々が「何をやっているんだろう?」というように見ていたのも楽しい思い出です。
――本作は大恋愛の末に結婚した二人が10年経って失いかけた愛を取り戻す物語。私生活では22年6月に結婚したばかり。バークスは何を思ったか。
色々な問題を抱えている映画の二人ですが、私の実生活とは違います(笑)。ただ、ちょうど結婚するタイミングで、同じタイミングを経たキャラクターを演じることは非常に興味深いと思いました。彼らからは、「(結婚生活において)こうやってはいけないよ」ということを得たのではと思います。
――今回取材に応じてくれたバークスは、エルサ役で出演するミュージカル「アナと雪の女王」のロンドンでの公演の真っただ中。充実した日々を送る彼女にとって舞台と映画の楽しみとは?
まず舞台は、毎日同じキャラクターの旅路を再現しながらも違う旅路になることが面白みなのかなと思います。舞台は生ですので、そこにお客さまがいるという状況も楽しみです。対して映画の楽しみは、自分たちをリアルな状況にできる限り作り上げていくことができること。ミュージカル映画だといきなり歌い始めるところはリアルではありませんが、実際に生きている、現実的であるということを表現できるのは映画ならではだと思います。