コンビニのスタッフって最近外国人が多いよね、と思いませんか。いまや全国に5万5千を数えるコンビニ。そこで働く外国人は大手3社だけで2017年に4万人を超えた。芹澤健介『コンビニ外国人』はここを起点に、日本で働く外国人や留学生の問題を多角的に追ったルポルタージュだ。

 コンビニに外国人スタッフが増えた最大の理由は業界の人手不足。働く人の多くは日本語学校や大学に通う留学生だ。ローソンなどはベトナムと韓国に置いた研修施設で来日前に研修を行い、ローソンでバイトをする条件で給付型の奨学金を出していたりもする。

 留学生の多くは多額の借金をして日本に来ていることもあり、27万人の留学生のうち26万人は勤労学生。留学生のアルバイトを週28時間まで認めている日本はよくも悪くも「働きながら学べる国」「学びながら働ける国」なのだ。

 実際、日本の受け入れ態勢には問題も多い。特に驚くべきは日本語学校の実態だ。現在、国内にある日本語学校は643校。私立大学の数より多く、この5年間で200校以上も増えた。背景には政府が進める「留学生30万人計画」があるが、仕切っているのは文部科学省ではなく法務省でカリキュラムのチェックもない。学費は不当に高く、日本語教師の待遇は劣悪。ある日本語教師によれば<ほとんどの日本語学校が“問題あり”だと思います>。

 留学生の資格を得るために日本語学校に入学する「出稼ぎ留学生」と、留学生を労働力として期待する人手不足の現場。<留学生がいないと現場がまわっていかない>ってどういうこと? 移民受け入れの是非とかいう議論はすでに寝言。日本はとっくに外国人労働者に依存した国なのよね。

 ただ、日本に来る外国人は減るだろうと著者は予測する。<「学びながら働ける国」として魅力的だった日本の経済が後退すれば、当然、コンビニでアルバイトしていたような留学希望者が日本を目指す理由がなくなるから>だ。東京五輪後は誰にも相手にされない国になる? ヤバイじゃん。

週刊朝日  2018年7月20日号