最近、女性の間でも流行しているサウナ。館内に休憩スペースや飲食店もあり、1日中ゆっくりとリラックスできる施設が増え、サウナは男性が行くもの」というイメージはなくなってきています。
 今回紹介するのは漫画家であり、日本サウナ・スパ協会公認サウナ大使でもあるタナカカツキさんによる『はじめてのサウナ』です。イラストはTent Sauna Partyに所属するほりゆりこさんが担当。可愛らしい絵本のような本書でサウナを深く知ることができます。
 まず、サウナの入り方は温冷交代浴が基本です。サウナ室、水風呂、大休憩、そしてまたサウナ室と繰り返します。人それぞれに気持ちいいと感じる時間や温度があり、無理せず自分に合ったサイクルを発見するとサウナがより楽しめるようになるそうです。
 疲労回復や安眠効果、ダイエットなどいいこと尽くしのサウナ。しかし、心が静まり、思考が前向きになることが1番の効果だとタナカさんは語っています。サウナによって心が静まる、歓喜に似た感覚をサウナ愛好家は「ととのう」と表現するのだそう。本書もそんな前向きな気持ちになれる優しい言葉とイラストで、サウナの楽しみを教えてくれます。
 また、池田晶紀さんによる写真も掲載され、フィンランドの自然と、サウナの様子を見ることができます。写されているのは、サウナを出たらすぐそばの湖に入ったり、森林浴をしたりする人たち。外出がつらいと思ってしまう寒い土地でも、サウナがあることによって人と自然が近づいていることがわかります。
 女性も行きやすくなっているサウナですが、その中でもなるべく可愛くいたいと思う人もいるでしょう。最近では日本のサウナ室でもサウナハットを被る人が見られるようになっているそうです。サウナ室は上部ほど温度が高くなるため、座っていると一番に頭が熱くなります。髪の乾燥も気になるところ。そのどちらからも守ってくれるのがサウナハットなのです。
 そこで紹介したいのが、本書のカバーに隠された秘密です。本書を手に取ったら是非、カバーを外してみてください。カバーの内側には、ほりさんがレクチャーするサウナハットの作り方が載っているのです。リトアニアのサウナハット・アーティストであるヴィクトリアさんの手法を基にしています。羊毛と気泡緩衝材、バスタオル数枚があれば作れるなんて簡単! 可愛いハットを自作すれば、サウナに行くのがさらに楽しくなるでしょう。
 他にも本書では、サウナの楽しみ方がたくさん紹介されています。例えば、日本サウナ祭りではフィンランド式のサウナや湖でのクールダウンを体験できます。自然の中にサウナを作って楽しむテントサウナパーティーや、サウナカーもあるそう。新しいアウトドアのレジャーとして広まる予感が日本でも見られています。
 タナカさんの考えるサウナのよさは、生活の中で「気持ちいい」と感じられること。サウナがあるから頑張れたり、生活にメリハリが出たり、居場所が増えたりするのです。サウナを習慣にするからこそのよさを本書で知ったあとには、実際に足を運んで、サウナのよさを探求してみてはいかがでしょうか。