この2人の官僚は、霞が関は絶望的だとためらいなく証言した。
「残業とか安月給などは承知のうえで官僚になった。それでも、国民のためになる大きな仕事ができれば、やりがいがあると思って官僚を続けて来たが、今や、そんなことは夢のまた夢。どこにも希望が見えない」と途方に暮れる。
若手官僚の中でも大志を抱く人ほど現実との落差を強く感じ、優秀な人ほど先を見て辞めて行く。もはや、若手に対して、国のために頑張ろうというのは、白々しくて口にすることができないという。
この話を聞くと、霞が関改革の議論の中心が職場のホワイト化というのでは、全くピント外れだということがよくわかる。
一番大事なのは、国民のための政治が行われ、官僚がそのために働ける環境の整備だ。霞が関再生には、党利党略で動く政治家、省庁利権にまみれ自己保身に走る幹部官僚の一掃から始めるしかない。
※週刊朝日 2023年1月6-13合併号