一つ質問するたびに、明快でユーモアの交じった答えが飛び出す。秒単位で動くニュース番組でも、そのスキルはいかんなく発揮。相方であるTBSの井上貴博アナウンサーとともに、落ち着きながらもときにアツく、しっかり的を射た“コメント力”が人気を博している。さらに、今秋からはバラエティーの新番組でMCに抜擢された。
バカ笑いできる「瞬間」
「今でも私の“ホーム”は長いこと育てていただいたバラエティーだと思っています。バラエティーの仕事は楽しいし、バカ笑いできる瞬間ってすごく大事だと思っているんです。ニュースとバラエティーって雰囲気に振れ幅がありますが、切り替えは特に意識していません。スタジオに入ると、自然と番組ごとの私に切り替わっているのだと思います。それぞれの番組に合わせてチューニングすることで、どんなジャンルの仕事でも対応できるタレントでありたいです。それに、この数年は皆さん大変なことが多かったですよね。そんなとき、私の場合は半ば強制的に明るい瞬間を持ってくることで、重たい空気にのみ込まれないよう、ニュートラルな場所に私を引き戻してくれるのが、バラエティーの現場。だから、とっても大切なんです」
20代の頃は悩みもあった。強烈な才能と個性にあふれる芸能界で、自分の価値がどこにあるのかわからなくなったことも。
「平凡な私にできることはあるのだろうかと、自信を持てない時期がありました。でも、“普通”が求められることもあると気づいて楽になりました。私たちタレントは“本人”としてテレビに出るので、本来持っている以上のものは出せないと思っています。一時的に取り繕えても、継続は難しい。今も天才的な才能や実力はないし、自信をなくすときもあります。そんなときは、こんな自分を信じてくれる人の声を信じればいい。その積み重ねが、毎日笑いながら仕事ができる日々に続いています」
だからこそ、「自分」を偽らない。
「それに、私のお弁当みたいに自分が普通だと思っていたことが、周りからするとそうじゃなかったということもありますからね(笑)。ありのままでいることが、一番大切なのだと思います」
(編集部・福井しほ)
※AERA 2022年9月26日号