野党では立憲民主党の岡田克也幹事長、大串博志選挙対策委員長が注目される。岡田氏は民主党の代表・幹事長、外相、副総理、民進党代表など数々の要職を歴任。22年夏の参院選で立憲が敗退したのを受けて、泉健太代表が岡田氏に幹事長就任を懇請した。立憲の党内事情を知り尽くし、政策にも強い岡田氏が党勢を立て直し、岸田政権をどう攻めるかが見どころだ。
岡田氏を選挙対策で支えるのが大串氏。財務省出身で政策通だ。実直な人柄で連合の信頼も厚い。統一地方選と次の衆院選に向けた態勢づくりが急務だ。
岡田-大串ラインの課題は日本維新の会との共闘だ。自民党に対抗する野党の塊をつくるという狙いで動き始めた立憲・維新の国会内共闘が次の衆院選での「すみ分け」につながれば、政権交代への道筋も見えてくる。だが、憲法や安全保障で両党の隔たりは大きく、溝を埋められるかどうかが高いハードルだ。
経済分野で注目されるのは、何といっても日本銀行の黒田東彦総裁の後任問題。新総裁の人事は4月までに衆参両院の承認を得る必要があるので、1月にも岸田首相が人選を済ませて発表しなければならない。現在の雨宮正佳副総裁と中曽宏前副総裁のいずれかが起用されるという見方が有力だが、どちらが総裁になっても、日銀の金融政策の実務を仕切るとみられているのが内田真一理事。日銀内では、企画局長などを歴任、中曽、雨宮両氏に仕え、信任が厚い。内田氏は、黒田時代の金融緩和路線からの軌道修正をどう進めるか、という難しい課題解決の実務を担うことになる。
民間では、23年4月に経済同友会代表幹事に就任する新浪剛史・サントリーHD社長の発信力が注目される。新浪氏は三菱商事からローソン社長を経てサントリーへ。政府に対しても歯に衣(きぬ)着せずに発言することで知られる。新浪氏が投じるだろう「一石」がどこまで政治や経済を動かせるかが見どころだ。
日本マクドナルドの日色保社長はジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人社長として業績を伸ばした後マクドナルドへ。本業で経営手腕を発揮しただけでなく、子どもの貧困問題に力を入れる。森トラストの伊達美和子社長は、家業の開発事業に加え、経済同友会副代表幹事として観光業の活性化対策に取り組んでいる。新型コロナの感染拡大が収まった後の観光産業の復活を後押しできるか。女性経営者の代表としても活躍が期待されている。電気自動車の普及や脱炭素の流れの中で需要が高まっているのが蓄電池。パワーエックスの伊藤正裕社長は大型蓄電池の開発に取り組み、事業を拡大している。若手経営者の代表として新分野に挑戦する。
■星浩さんが選ぶ10人
菅義偉 前首相
上川陽子 元法相
斎藤健 法相
岡田克也 元外相
大串博志 立憲民主党選挙対策委員長
内田真一 日本銀行理事
新浪剛史 次期経済同友会代表幹事
日色保 日本マクドナルド社長
伊達美和子 森トラスト社長
伊藤正裕 パワーエックス社長
※AERA 2023年1月2-9日合併号