一方、現地の人たちが声を揃えて出したのが「大黒摩季さん」の名前でした。ちょっと意外ではありましたが、「札幌出身と言えば大黒摩季!」という市民の意識は相当高いようです。大黒さんは、かつてアトランタ五輪(96年)のNHKテーマソング『熱くなれ』を歌って大ヒットさせましたし、その親和性も実証済み。「34年越しの夏冬制覇」も夢ではないかもしれません。

 そして、今回もっとも驚いたのが、「野宮真貴さんも北海道出身」という事実。渋谷系の女王。東京のお洒落ピーポーの女番長として30年以上君臨し続けている彼女ですが、「知らなかったんですか? 野宮真貴さんは北海道ですよ!」とドヤ顔で諭してくる札幌市民と何人も遭遇しました。なるほど。今も毎晩7時になると、欠かさず「東京は夜の七時」とツイートをする彼女の性(さが)を初めて垣間見た気がします。

 もうひとり忘れてはならないのが、日本における性転換の元祖・カルーセル麻紀さんです。御年満80歳。故郷の釧路を出て、札幌すすきのに辿り着いたのが65年前。彼女を差し置いて、北海道と人類の進化は語れません。というわけで文科省ならびに電通は、今すぐにこの「北海道三大マキ」のスケジュールを押さえることをお奨めします。

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

週刊朝日  2022年12月30日号

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