私ども老夫婦は3階分の吹き抜け空間がある都市型住宅に住んでいます。
年齢とともに階段中心の生活がけっこう身にこたえるようになりましたが、猫にとっては好みの立体環境のようです。
ラム(写真、雌、21歳)は、この住まいの隅々まで上手に使いこなしています。
彼女にとって特に大切な場所は食堂です。食事の支度の時間が近づいてくると、台所やその周囲が見渡せる座卓の下の中央に潜り込みます。そして、自分の分ができるまで微動だにせず家族の動きを見守ります。
体調が優れない時などは、家族の誰にも見つけられないような、寝室のベッド下の奥の奥に潜んでいることもあります。
そんなラムが最も気に入っている場所は、メインの階段です。
写真のように家中の様子がうかがえる中央付近に陣どって、上下階にいる家族から少し距離をおこうとしたり、上部からの直射光で日なたぼっこをしたり、踏み板から体をはみ出させながら器用に眠ったりしてリラックスします。
また今でも、興奮した時や排便した後には、ものすごい速さで階段を上下に飛ぶように走り回ります。キャットランがわりにして楽しんでいるようなのです。
しかし、ラムも年齢には勝てず、体も徐々に弱ってきています。
数年前からは前後の脚が変形して、座っても真っすぐな姿勢が保てず、踏んばりきれない足先が床の上を滑っていったり、体が左右に揺れたりします。
それでもラムは快適に過ごせる場所を求めて、不自由になった足を引きずりながら階段を一日に何回も上がったり下りたりしています。その姿を見つめながら、私たち夫婦も彼女を見習わなければと、いつも話しています。
(秋元敏雄さん 東京都/76歳/フリー)
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