「Is it hard to live here?」(ここで暮らすのは大変ですか?)
「No. I have friends. They are ex-army.」(いや。ここでの友達にも元軍人がいるんだよ)
地下住人となるには、様々な理由があって、ひとくくりに語ることはできない。それでも、元軍人でビリーさんと同じPTSDのような精神的な病を抱えた人は多いように思えた。なかにはドラッグに手を出す人も多く、そうなると地下で暮らすこともかなわなくなってしまうという。誰も助けてくれない環境なだけに、自活できることが地下で暮らせる人の条件ということらしい。
「I have work every day. I get money of a day meal about a few hours.」(僕も仕事をしているんだ。毎日の食事の分を稼いだら終わりにしている)
「What kind of job?」(どんな仕事ですか?)
「I take a board and stand roadside.」(この紙を持って道路に立つんだ)
見せられたのは、ビリーさんが従軍経験のある軍人で、どこに行ったのかを書いた段ボール紙だった。そこにはイラクの文字もあった。2003年に始まり、11年にアメリカ軍が撤退するまで多くの軍人が送り込まれた。ビリーさんがそのうちの一人ということを考えると、終戦=終わりではないことがあらためてよくわかる。
「How much do you get for a day?」(ちなみに、一日分ってどのくらい?)
「If I got 20 dollars, that is a success. I can buy sandwiches and coke.」(20ドルあれば十分。サンドイッチとコーラが買えるから)
質素だな!と思いながらも、たしかに生きるだけならば、それで十分なのかもしれないと、むしろ自分の生活の無駄に気づかされる羽目になった。こういうところで意外な気づきというのがあるものだ。
さらにビリーさんに地下での暮らし、生活インフラについて聞いてみることにした。