「Where do you get a toilet?」(トイレってどうしているんですか?)
「I can borrow it in CASINO.」(カジノとかで借りるよ)
彼はヒゲも剃っていて、服も洗濯している。つまり、ホームレスっぽくない身なりなのだ。身の回りのことも、いかにも清潔にしている感を出しているが、あたりからはやや小便臭も漂ってくるので、その限りではないのだろうなと思った。トイレや洗濯はホテルや公園などでできるだろうし、まとめてコインランドリーなんかで洗うことだってできるだろう(そんなもったいないことはしないだろうが)。彼の言葉を信じるとして、もう一点、気になることがあった。
「Do you have a bath?」(お風呂、どうしてるんですか?)
「Bath? Yes. Do you wanna see it?」(風呂? もちろんあるよ。見に来るか?)
「Yes, please.」(お願いします)
彼についてトンネルの奥に進む。真っ暗ななかで、水の音がした。
「That is a bath.」(あれが、お風呂だ)
「I'm sorry. What did you say? Is that your bath?」(お風呂ですって?)
壁の穴(排水路の側道)から大量の水が出ていた。ビリーさんが、その水で顔を洗い出す。
「Is this OK?」(大丈夫ですか?)
「This water is clean. Do you know plants near the hotel? The water was used for only plants.」(この水はきれいだよ。これはホテルのまわりに植えられている植物にかけた水なんだ)
「Hotel's plants?」(ホテルの植物?)
「No problem. Do you understand this meaning?」(そうなんだ。だから、そんなに汚くない)