急いで着替え、「仕事忘れてたー! 今から行ってくるわーっ!!」「だいじょーぶー?」「じゃなーーーい!!(泣)」と子供たちに告げ、さっきファミチキ(仮)を食べながら歩いた道を引き返す。電車に飛び乗る。もう慌てても仕方ない。三遊亭兼好師匠と出番を変更した、という連絡が届く。スケジュール帳を見ると12月10日に消せるボールペンで「ルルティモ」と書いた後に、わざわざそれを消した跡。なぜ消した、俺。こんなこと、今までなかったのに2022年は大ポカが2度あった。1回はダブルブッキング、2回目はコレ。
2023年の『抱負』は「ちゃんとする」。ということで、1月20日発売の新刊『まくらの森の満開の下』ではそのダブルブッキングについて克明に記してありますので、どうぞお買い求めください。「しくじりは全て回収」。これもまくらの不変の『抱負』。
春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめたエッセー集の第1弾『いちのすけのまくら』(朝日文庫、850円)が絶賛発売中。ぜひ!
※週刊朝日 2023年1月20日号