一部の日本人顧客からは、日本らしくないと揶揄される現地化したサービスも、従業員の離職率を抑え、中国での低価格を実現するための対策としては一定の評価ができる。

中国での外食市場に
「タイムマシン経営」は通用しない

 実際のところ、飲食店が上手くいくかいかないかは、「立地」「価格」「メニュー構成」「接客」「商品クオリティー」等、さまざまな複合的な要因によって決まり、簡単に分析できるものではない。

 中国での出店であれば、進出の形態が「独資」か「合弁」か、それとも「フランチャイズチェーン(FC)」なのか。

 また、「合弁」あるいは「FC」の場合であれば、パートナー企業との信頼関係を構築することができたかどうかも、成功に向け大きな鍵になるため、それらを分析しようとすると、さらに複雑になる。

 すなわち、上手くいかなかった理由は、各社それぞれ個別にあることは、言うまでもない。

 しかし一方、俯瞰して分析を続けていくと、「ファミレス」という業態の特性が、中国のマーケットに合わなかったということも見て取ることができる。

 既に中国の外食市場は、日本での過去の成功事例の数年前を思い出しながらの「タイムマシン経営」が通用する時代ではない。

 今後、外食企業が中国で成功を収めるためには、単純に日本の業態を現地にアレンジするのではなく、現地マーケットに照準を合わせ、ゼロから業態を開発していくようなアプローチが、さらに重要となってきているように思える。

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