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 名前は「花火」(写真)。より一回り大きいサイズで、純血種の柴犬によく間違われる豆柴系雑種の女の子。11歳です。

 10年前、横浜の花火大会の会場で、長男の彼女(現在の奥さん)から、飼い主を探している1歳くらいの犬がいると聞きました。

 脱糞しながら部屋の中を逃げ回る臆病な犬で、飼うのは無理かなと思いました。しかし、その後、飼い主が見つからないと処分されるという連絡を受け、引き取りました。

 わが家に来てからも数年は家族と一定の距離を保っていましたが、一度なれると大変な甘えん坊で、気がつくと抱っこされたくて私たちを見上げています。

 以前に2匹の犬を飼った経験から、花火には自由に生きてもらおうと思い、お座りやお手などのしつけは一切しませんでした。しかし、彼女は借りてきた猫のようにおとなしく、いたずらはしないし、吠え声も寝言以外ではほとんど聞きません。そして、テーブルの上に食べ物があっても、目がくぎ付けになりながらも、もらえるまでいつまでも待っています。

 童顔で小柄な花火は、「生後何カ月ですか?」とよく聞かれます。「11歳くらい」と答えると驚かれ、「若づくりでいいわね~」とうらやましがられます。

 散歩もブラブラ、花火のペース。においをかいだり、何かを考えるように立ち止まったり、花火の気の向くままです。

 自分より大きな犬が好みで、好みの犬に出会うと尻尾を振って、いつまでも見えなくなるまで見送ります。吠える犬は「どうして吠えるの?」と、不思議そうな顔で見つめます。のんびりしているので犬友からは「線香花火」と言われ、せっかちな私も花火のペースに合わせ、「気の長いおじさん」と思われています。

(木戸勉さん 神奈川県/68歳/自営業)

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