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●強行採決に官邸のウソ、不適切発言 丁寧に報道した民放と比べNHKの姿勢は「?」

 7月2日、東京都議会議員選挙で自民党は、歴史的な大敗を喫した。逆風を受けての選挙だけに、当初から苦戦は予想されていたが、ここまでとは、誰にも予測できない敗北だった。この逆風はその後も収まらず、安倍政権にもっとも好意的と言われる読売新聞の7月10日付けの紙面での世論調査でも、内閣支持率は6月より13ポイント落ちて36%という結果になった。

 この原因はひとえに、前国会での安倍晋三首相の不誠実で傲慢な政治姿勢にある。その象徴が国会最終盤での「共謀罪」法の採決強行であり、存在が二転三転した文科省の内部文書、さらに萩生田光一官房副長官の国会答弁だった。国民はこれに接して、「官邸のウソ」を確信した。加えて追い打ちをかけたのが、稲田朋美防衛相の不適切な言動、下村博文自民党幹事長代行のヤミ献金疑惑であり、「安倍チルドレン」の一人、豊田真由子議員の暴言だった。これを見て多くの東京都民が、自民党に批判票を投じたのは当然だった。

 この一連の状況を、民放各局は夜のテレビニュースで厳しいコメントとともに丁寧に報道した。伝えた事実の多くは、内部告発や週刊誌の報道にもとづくもので、テレビが独自に取材して明らかにしたものではないが、ではあっても、いま何が問題か、それはなぜかなどを、しっかり取り上げ詳しく伝えた。その意味で自民党の退潮は、メディアがもたらしたものと言えた。

 だが、そのなかでNHKの「ニュースウオッチ9」は、やや異なる姿勢を示した。それが特に目についたのは、東京都議選が告示された直後の6月下旬である。

 例えば6月30日、稲田防衛相は自らの発言を謝罪する会見を行ったが、「ニュースウオッチ9」と「NEWS ZERO」(日本テレビ)は伝えなかった。周知の通り稲田氏は、27日、都議選の応援演説で、自衛隊を政治利用するかの如き発言をして、野党から指弾され閣僚を辞めるよう迫られた。問題の深刻さに気づいた稲田氏は、当日の夜、あわてて発言を撤回し、30日にも再度、釈明の会見を行った。だが記者団から1時間にわたり激しく攻めたてられ、「誤解」という言葉を35回も繰り返す醜態をさらす結果になった。

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