専門家によれば、定昇分は平均すると概ね1.8%程度だと言われる。つまり、連合が、「5%賃上げ実現!」と胸を張っても、そのうち1.8%は何もしなくても上がる定昇分で、残りの3.2%のベースアップ分だけが本当の意味での「賃金上昇分」になる。これでは4%のインフレ率より低いので、実質賃金はマイナスになってしまう。しかも、連合傘下の組合は、大企業の組合が多いから、中小企業を含めた全体ではさらに低くなる。
つまり、連合の要求5%は、インフレ率を超える賃上げを最初から放棄しているに等しいのだ。
さらに、インフレ率に賃上げが追いついたとしても、過去30年にわたって実質賃金が上がらなかった分を取り戻すことにはならないということも忘れてはいけない。
これについて、岸田総理を「嘘つき!」と批判することも大切だが、労働者が声を上げて戦う姿勢を示す方が重要だ。
連合は、最低6%の賃上げを要求すべきだ。経営側が応じなければ、ストライキを呼びかけなければならない。経営側に忖度することが習い性となってしまった連合が変われるのか。その存在意義が問われている。
※週刊朝日 2023年1月27日号