去年迷い込んできた猫(推定2歳、雄、写真)は、野良ではありません。毛並みがよく、人に飼われていたように思われます。しばらく預かるつもりでいたら、すっかり家にすみついてしまいました。名前を福ちゃんとしましたが、半年を経て呼んでも知らんぷり。名付けは人間様の勝手と言わんばかりです。
食事のおねだりは足に噛みつくのが常で、それも半端な噛みつき方ではありません。
ひとり住まいの私は起床が遅く、早く起きろとばかり、引っかくやら噛みつくやら。薄着の夏は、手足は傷だらけ、敷布は血だらけで、閉口して手袋・靴下着用の就寝となりました。
そしてようやく気がついたのですが、福ちゃんは声が出せない猫だったのです。鳴けないがため、私の手足を噛み、引っかいて意思表示していたのです。獣医師によると、何万匹かに一匹だそうです。
それからは福ちゃんには一層の愛情が必要と、可愛さ倍増で、猫可愛がりが増すばかりです。
前の飼い主は、おそらく育てきれずに手放したとしか思えません。迷い込んだのが私の家でよかったのです。不憫な猫ほど可愛いものです。思うように思いが伝えられないいら立ちから強烈な噛みつきになり、叱ればさらに噛みつき、叱ったことを後悔することもしばしば。本当に可哀想な猫です。
私に対する感謝は、手足を軽く引っかく動作で伝えてくれます。
私自身高齢ですが、この猫より先に死ぬわけにはまいりません。そうした願望は長命につながるともいいます。そうあってほしいものです。
・長命は有難い、猫ひざに在す
・陽射しよく、猫背伸びして欠伸する
(宇居弘之助さん 群馬県/83歳/無職)
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